自筆証書遺言について!相続に詳しい司法書士が解説します!
こんにちは、「相続お悩み相談窓口」のコラムを執筆している司法書士の久我山左近です。
今回のコラムでは、「自筆証書遺言について!相続に詳しい司法書士が解説します!」というテーマで遺言書の形式の1つである自筆証書遺言について解説をいたします。
以前のコラムで遺言書全般についての解説をいたしましたが、今回はその中の1つである「自筆証書遺言」に焦点を当てて、自筆証書遺言の基本的な知識と自筆証書遺言を無効にしないための要件などについて解説をいたします。
ぜひ、今回の記事を読んでいただき、遺言書の1つである自筆証書遺言に関しての基本的な知識を身に付けていただきたいと思います。
自筆証書遺言とは?相続に精通した司法書士が丁寧に解説します!
まず最初に、遺言書でできることを司法書士が解説いたします。
遺言書に書くことで有効になる法的な効力は大きく分けると3種類になり、ちょっと難しい言い方をすると法定遺言事項といいます。
そして、その法定遺言事項の3種類は「相続に関すること」「財産の処分に関すること」「身分に関すること」の3つになっています。
その法定遺言事項以外のことを遺言書に書いても法的な効力は発生しませんので注意が必要になります。
それでは、遺言できる法定遺言事項は以下の通りになります。
まず1つ目は「相続に関すること」になります。
①相続分の指定
自筆証書遺言では法定相続分とは異なる割合で相続分を指定することができます。子供のうち誰かひとりに多く相続財産を引き継がせることなどが可能です。
②遺産分割の指定及び遺産分割の禁止
どの相続財産を誰に相続させるかを指定することができます。 例を挙げると「長男にマンション、長女に預貯金」といった指定ができます。また、遺産分割を禁止することも可能です。
③相続人の排除
亡くなった方(被相続人)が生前に虐待を受けたなどで、相続財産を引き継がせたくない人がいる場合には、その人を相続から排除することができます。
④遺留分減殺方法の指定
法定相続分と違う割合で遺産分割の指定をしても、それに不満を持った相続人から「遺留分減殺請求」が出されることがあります。 その遺留分を考慮して、あらかじめ遺言書で「この相続財産から遺留分を払って欲しい」と指定することができます。
遺留分とは、法律で定められた最低限の相続分が請求できる権利をいいます。
例を挙げると、妻に「自宅と預貯金、株式を相続させるとして、もし子供から「遺留分の請求」が出された場合には「遺留分請求が出たら株式から払って欲しい」と自筆証書遺言しておけば問題なく妻の生活を守ることができます。
⑤特別受益の持ち戻し免除
生前贈与などですでに相続財産を分け与えられた相続人は、通常は遺産分割では法定相続分からその分を差し引かれることになります。自筆証書遺言では「生前贈与などの分を引かないでほしい」と指示することができます。
⑥保険金の受取人の変更
自筆証書遺言では生命保険の受取人の変更又は指定が可能です。
⑦遺言執行者の指定
自筆証書遺言の内容を実現するために必要な手続きを行う人(遺言執行者)を指定することが出来ます。
⑧祭祀継承者の指定
亡くなった方のお墓や仏壇などを継いでもらいたい人を指定することが出来ます。
以上が遺言書でできる「相続に関すること」になります。
次が「財産の処分に関すること」になります。
①遺贈に関すること
自筆証書遺言では、法定相続人以外の第三者に相続財産を引き継がせることができます。
②寄付や一般財団の設立
自筆証書遺言では相続財産を寄付したり、一般財団法人の設立に使うこともできます。これは節税対策として有効になります。
③信託の指定
信託とは財産を信頼できる人や信託銀行などに預けて「処分・管理・運用」してもらうことをいいます。 法定相続人が高齢者や子供で、財産の管理能力がない場合などに信託が行われることがあります。
最後が「身分に関すること」になります。
①認知すること
自筆証書遺言では婚姻関係にない夫婦の間の子供を「認知」することができます。 子供を認知することで、相続財産を分配することが出来るようになります。
②未成年者の後見人や後見監督人の指定
自筆証書遺言では未成年の子供がいる場合にその面倒を見てくれる後見人や、さらにその後見人の監督をしてくれる人を指定することが可能です。
さて、ここからが本題で自筆証書遺言を法的に成立させるために必要な要件になります!
自筆証書遺言必要な要件を相続に精通した司法書士が解決します。
ご自身の最後の願いを託すのが遺言書になります。
大切な家族やお世話になった人を守るためにも遺言書を作成することはとても有効な手段ですが、作成した遺言書が無効になっては逆にトラブルのもとになってしまいます。
そこで、自筆証書遺言を法的に成立させるために必要な要件をわかりやすくご紹介いたします。
ここでご紹介する5つの要件を守ることで、法律的に無効にならない自筆証書遺言を書くことができます。
自筆証書遺言を有効にする法的な5つの要件
自筆証書遺言書はここで紹介する法的な要件を必ず守って書くようにしてください。ここで紹介する要件を守っていないと、せっかく書いた自筆証書遺言書が法律的に無効になってしまいます。
①遺言者本人が自筆で遺言書の全文を書く(※添付する財産目録以外)
自筆証書遺言書は遺言者本人が自筆(手書き)で全文を書く必要があります。 ワープロで書いたものや録音、録画、家族による代筆などは無効になってしまいます。
この要件は自筆の筆跡により、第三者による不正や偽造を防ぐためのものになります。
ただし2019年1月に法律が改正され、相続財産の全部または一部の目録を添付する場合には、パソコンで作成したものでも良いことになりました。また銀行の預金通帳の写しや土地の登記事項証明書を自筆証書遺言に添付することも可能になりました。
②遺言書を作成した日付を正確に自筆で書く
自筆証書書を作成した日付を「令和4年7月1日」「2022年7月1日」などと正確に書く必要があります。
亡くなった方(被相続人)に遺言書が複数あった場合に内容に違いがあれば日付が新しい遺言書が有効になります。
③ご自身の氏名を自筆で書く
自筆証書遺言書には戸籍上の氏名をフルネームで正確に書く必要があります。
より正確に遺言書を作成した遺言者を特定するためにも氏名の前に住所も書き入れましょう。
④遺言書には印鑑を押しましょう
遺言書に書いた氏名の後には必ず印鑑を押しましょう。
印鑑が不明瞭になって遺言書が無効にならないように、しっかりと押印いたしましょう。 もし遺言書の印鑑が消えていたり印鑑がない場合は自筆証書遺言書は無効になります。
遺言書に押印する印鑑は認印でも有効ですが、簡易な印鑑のインクは消えやすいケースがありますので、長期間の保存に耐える実印と朱肉にするのがお勧めになります。
⑤遺言書の訂正には印鑑を押して欄外にどこを訂正したかを書いて署名します
遺言書の訂正のやり方にも厳格な決まりがあります。
遺言書の訂正には印鑑を押して欄外にどこを訂正したかを書いて署名する必要があります。
ここでご紹介した5つの要件を守れば、あなたが作成する自筆証書遺言書は法律的に有効になります。
当コラムを運営する「相続お悩み相談窓口」では、自筆証書遺言書が法的に有効になるだけでなく相続税対策という観点からも最適な遺言書作成のご提案ができますので、ぜひお気軽に当サイトの無料相談を利用していただきたいと思います。
以上で今回のコラムの「自筆証書遺言について!相続に詳しい司法書士が解説します!」は以上になります。
久我山左近でした。