家族信託は公正証書にするべき?司法書士が解説します。
こんにちは、「相続お悩み相談窓口」のコラムを執筆する司法書士の久我山左近です。
今回のコラムは、「家族信託は公正証書にするべき?」というテーマで、家族信託を行う上での実際の手続きについて解説をいたします。
最近では成年後見に代わって家族信託が俄然注目されていますので、実際に将来の財産管理のために家族信託を検討している方はかなり多いと想像できます。
そして、今回のテーマでもある家族信託の実際の手続きでは公正証書を作成するのが一般的になりますが、なぜ公正証書にする必要があるんでしょうか?
今回の記事では家族信託を公正証書で作成する必要性やメリットとデメリットを解説いたしますので、ぜひ読んでいただき家族信託についての知識を深めていただきたいと思います。
家族信託には公正証書が不可欠です!司法書士が詳しく解説!
まず、家族信託については以前のコラム「家族信託とは?家族信託に詳しい司法書士がわかりやすく解説します!」で詳しく解説していますので、ぜひご覧になってください。
さて、今回のテーマである家族信託は、家族内で信託契約を行い、その契約内容にもとづいて受託者が委託者の財産の管理及び処分を行います。これだけではよくわからないと思いますが、家族信託を行う際には「信託契約書」を作成いたします。
そして家族信託における信託契約書については公証人役場で作成される「公正証書」によるのが一般的になります。
しかし、家族信託の信託契約書を必ず公正証書にしなければならないわけではありません。
それでは、ここからなぜ家族信託に公正証書が必要なのかを解説いたします。
家族信託には公正証書が有効です!司法書士が解説します。
家族信託とは、民事信託とも言われていて、例えば財産の委託者(ご自身)が信頼できる受託者(息子など)に信託譲渡をして、その財産によって委託者(ご自身)の生活を守り、また大切な財産を承継することで世代を超えて家族の安定した生活を確保する制度になります。
家族信託が一般的な信託と違う部分は利益を追求するよりも家族の幸せな生活にフォーカスしているところで、ご自身が認知症になってから発動する成年後見や、本人が亡くなってから効力が発生する遺言書などと一線を画す長期的な財産管理機能を有する新しい制度になります。この信託契約は、高齢者ご自身の財産とその家族を守る大事な制度です。
繰り返しになりますが、家族信託は成年後見制度を補填し遺言の代わりになる重要な信託契約になります。
家族信託は、家族内で信託契約に合意していれば公正証書でなくても有効になりますが、法律の専門家である公証人によって信託契約書を作成するのが不可欠だといってもいいでしょう。
信託契約書は高度な法律的な知識がないと、信託契約の内容について問題になることがありますし、高額な財産管理を託す場合には相続人の間で金銭トラブルになる可能性もあります。
公正証書は前述したように公証人という法律の専門家のもとで作成されるために、法律的にも適正で信用性の高い契約書となりますので、契約の当事者が契約違反をしたとしても公正証書をもって正当に対抗することができるからです。
また、契約の当事者は正本や謄本だけが渡されますが、公正証書の原本は公証役場で保管されているために万が一契約書を紛失してしまっても公証役場で再発行することが出来ます。
以上のことからも家族信託には公正証書による信託契約書が不可欠だと言えます。
家族信託を公正証書にするメリットを司法書士が解説します。
信頼できる家族であっても、やはり金銭が絡むことなので誰かが契約違反をして財産を使い込んだり、委託者(ご自身)の不利益になる行為をするといったトラブルに発展する可能性があります。
委託者(ご自身)が高齢者の場合には認知症などで意思能力が問題になることもありますので、信託契約をすることでそんな心配が低減されます。
また、トラブルがあっても公正証書であれば、原本は公証役場に保管されているため信託契約書を偽造や加筆される可能性はありませんし、前述いたしましたが公証人という法律家が作成しているために争いになったケースでも有効な証拠として示すことができます。
次のメリットが金融機関で信託口口座が作成しやすいことになります。
信託口口座とは、家族信託で預けたお金を管理及び運用するための口座になり一般的な普通口座とは異なります。
銀行で信託口口座を作成するには、信託契約書を公正証書とすることを条件としている金融機関がほとんどですので、信託口口座の作成を検討して場合は信託契約書を公正証書で作成する必要があります。
家族信託を公正証書にするデメリットを司法書士が解説します。
家族信託の信託契約書を公正証書で作成するには、公証人と事前に綿密な打ち合わせを行う必要があり、公正証書を作成する当日には公証役場で本人確認を行ってから作成いたします。ですから一般的な契約書と比べると手間と時間がかかります。
なお、当社のような専門家に依頼していただくと、公証人との事前の打ち合わせをご自身に代わって行いますので、ご自身の時間と手間を省くことができます。
家族信託の信託契約書を公正証書で作成するには信託財産の評価額によって作成費用がかかります。
ここまで家族信託は公正証書にすべき!というテーマを解説して読者の皆様のお分かりだと思いますが、リスクに比べればデメリットは大きな問題ではないと言えるでしょう!
結論として、家族信託の信託契約書は必ず公正証書で作成いたしましょう!
当コラムを運営する「相続お悩み相談窓口」では、家族信託をご検討の方に対して最適な家族信託契約書作成のご提案ができますので、ぜひお気軽に当サイトの無料相談を利用していただきたいと思います。
以上で今回のコラムの「家族信託は公正証書にするべき?司法書士が解説します。」は以上になります。
久我山左近でした。