親族内承継とは?親族内承継のメリットとデメリットを解説!
こんにちは、「相続お悩み相談窓口」のコラムを執筆する司法書士の久我山左近です。
事業承継には、いくつかの種類があり「親族内承継」「社内承継」「社外承継」という3つの方法があります。
社内承継と社外承継は親族外承継とも呼ばれていて、社外承継については一般的にM&Aとも言われています。
今回のコラムでは、3つの種類の事業承継の方法の中で「親族内承継」にフォーカスして親族内承継についての基本的な知識と「親族内承継」についてのメリットとデメリットを解説いたします。
ぜひ、今回の記事を読んでいただき、親族内承継についての基本的な知識を身に付けていただきたいと思います。
親族内承継について!事業承継に詳しい司法書士がわかりやすく解説します!
親族内承継を詳しく解説!親族内承継のメリットとデメリットも!
今回のコラムのテーマは親族内承継ですが、一般的な事業承継については以前のコラム「事業承継とは?事業承継に詳しい専門家がわかりやすく丁寧に解説!」をぜひご覧になってください。
親族内承継は「親族内事業承継」とも呼ばれており、当たり前ですがご自身の事業を子供や孫、甥、姪などの親族に承継させる方法になります。
中小企業金融庁が行ったデータが示す通り、一般的な中小企業のほとんどが親族内承継で事業の引き継ぎが行われています。
ここからは事業承継の中で親族内承継を選択する場合にどのようなメリットとデメリットがあるかということを解説いたします。
事業承継に親族内承継を選択するメリットについて!司法書士が解説!
親族内承継のメリットの1つ目は、早い段階で親族の中から後継者を決めることが出来るので事業承継を行うまでに後継者に対して多くの教育を行うことが可能になります。
メリットの2つ目は、事業承継に対しての理解や協力が得やすいことで、後継者以外の親族や社内の従業員などのほか、社外の取引先や金融機関に対しても出来るだけ早めに知らせておくことで理解を得られる可能性も高くなります。
メリットの3つ目は、ご自身が所有している株式や事業用資産などの財産を相続や贈与で後継者に引き継がせることが可能になります。親族内承継では事業用資産の引き継ぎに「相続」と「贈与」を有効に使えることが親族外承継と比較して大きなメリットになります。
事業承継に親族内承継を選択するデメリットについて!司法書士が解説!
親族内承継のデメリットの1つ目は、ご自身の後継者の候補はいるものの経営者としての資質を持ち合わせていないことが考えられます。そのままご自身の後継者として就任させた場合には、社内のモチベーションの低下や取引先の評価などご自身の事業にとってマイナスの影響が出る可能性があります。
2つ目のデメリットは、ご自身の社内に複数の親族がいる場合には後継者となる者とならない者が出てきてしまうために後継者争いに発展する可能性があります。
親族内承継のデメリットの3つ目は、ご自身の個人保証の問題になります。中小企業の場合には事業を運営していくための融資に関して経営者であるご自身が保証人となっているケースや自宅を担保を差し出しているケースも多いので、ご自身が事業から退き後継者に事業の経営を譲る場合には、これらの個人保証を外す必要があります。
親族内承継を検討する際の注意点について!司法書士が解説!
親族内承継にはメリットとデメリットがあることはお分かりいただけたと思います。ここでは今後親族内承継を検討する際にどのような点に注意すればいいのかについて解説いたします。
まず1番目の注意点は、親族内承継に対して早めの準備と関係者に対しての告知になります。ご自身の後継者については出来るだけ早い段階から教育していくと共に早い段階で従業員や取引先、金融機関などに告知を行って信頼関係を深めていくことが重要だになります。
親族内承継の2番目の注意点は、ご自身の後継者が事業を承継した場合の後継者以外の親族への配慮をする必要があり、特に前述した相続や贈与に関しては金銭的な問題となるため事前に後継者以外の親族に対して大きな配慮が必要になります。
3番目の親族内承継の注意点は、ご自身の個人保証を残さないための対策も必要になります。ご自身の在職の間に完済できれば問題ありませんが、完済に借り入れが必要な場合にはご自身の退職金を準備しておくことで勇退時に退職金を活用することが可能なほか、在職時にもし相続が発生した場合には死亡退職金を会社が受け取り完済することも可能になります。こういった配慮によってご自身の個人保証が残らないためにご自身の事業の後継者への負担も軽く出来ることも可能になります。
今回のコラムで解説したように親族内承継にはメリットとデメリットがあり、また親族内承継を進めていくことの注意点もいくつかありますので、他の社内承継や社外承継と比較し検討したうえで早い段階で慎重に進めていくことが重要になります。
ここまでで今回のコラム「親族内承継とは?親族内承継のメリットとデメリットを解説!」の解説は以上になります。